インドで料理に使われる油といえば「ギー(Ghee)」をイメージする人が多いかもしれません。
昨今ではギーは健康にも良いヘルシーな油ということで、健康志向の女性たちの注目を浴びています。
実際、アメリカTIME誌(2015年)の「最も健康的な食品50」にも選ばれていることからもその注目度は計り知れますが、実際にインドに長期間滞在した私のギーに対する印象とはちょっと違います。
ネットで「ギー」と検索すると、「ギーを使ったダイエット」のような記事が散見されます。よく考えてほしいのですが、ピュアオイルではありますがギーはあくまで「油」です。
元看護師でもある私が実際にインドに長期滞在して触れた「ギー」の印象と、日本で健康食品としてはやっているギーの使われ方があまりにもかけ離れているので、本記事ですこしギーについてまとめてみたいと思います。
Contents
インドのバター「ギー(Ghee)」とは?
ギーとはインドでごくごく一般的に使われる油で、水牛やヤギのミルクからできた発酵バターを加熱・ろ過して沈殿物を取り除いたものを言います。
インドでは5千年以上前からギーを食と治療に使ってきたと言われていて、伝統のあるアーユルヴェーダでギーを使う事から、美容と健康のイメージが強いのではないでしょうか。
料理に関しては、炊いたご飯に混ぜてギーライスにしたり炒め物に使ったりしますが、一番多いのはラドゥなどの「お菓子」に使うというケースです。
インドでは炒め物の油にはどちらかというとマスタードオイルをよく使っていたような気がします。
あくまでも私個人の感想ですが、インド料理では料理にもお菓子にも油を大量に使うので、世界中で注目されているような健康的な油としての視点を現地インドの人たちが持っていたかというと少々疑問があります。
実際のところ、ギーの健康増進効果や栄養価の高さは折り紙付き(※後述します)で、体にいい数々の栄養素が含まれていることが分かっています。
注意していただきたいのは「ギーを食べれば痩せるといった類の食材ではない」という点です。
後ほどギーのカロリーを含めた栄養素について触れますが、「普段使っている油(オリーブ油やマーガリンなど)をギーに替えてみる」など、日常的に不純物の少ないギーに替えることで健康増進効果を期待するような使い方が良いように思います。
私がインドで出会ったギー
日本ではまだまだなじみの薄いギーは、都内ならまだしも私の住むような田舎のスーパーにはまず置いていません。
日本で売られているギーの多くはオシャレな小瓶に入っていてとても高価な商品ばかりで、私がインドのスーパーやステイ先で見たギーとは全然違います。
私の中でのギーのイメージは、上の写真のような缶切りで開けるような粉ミルクの缶くらいの大きさのあるものです。
インド滞在中に日本でもギーを料理やお菓子作りに使いたいと思ってお土産に買って帰ろうとしましたが、どこを見ても1L以上のサイズしかなく「こんなの持って帰るの無理!」と断念した記憶があります。笑
インドではそれだけ大量に使うので大きな缶サイズで購入するのが普通なんですよね。
ギーの効果・効能・栄養価
1.ビタミンA・Eが豊富
2.中鎖脂肪酸が豊富
3.共役リノール酸が豊富
ギーには抗酸化作用のあるビタミンAやEが豊富に含まれ、体内で分解・利用されやすい中鎖脂肪酸が多いので、体脂肪になりにくいというメリットがあります。
ギーのカロリーは?
ギーのカロリーは1グラムあたり、約9kcal
食用油のカロリーは100gあたり921kcal(1gあたり約9kcal)であるものが多く、ギーもそれらとほぼ同じカロリーですので、他の油脂類に比べて際立ってカロリーが低い訳ではありません。
油脂類 | カロリー(100gあたり) |
ゴマ油 | 921kcal |
オリーブ油 | 921kcal |
米ぬか油 | 921kcal |
大豆油 | 921kcal |
菜種油 | 921kcal |
とうもろこし油 | 921kcal |
パーム油 | 921kcal |
牛脂 | 940kcal |
ラード | 941kcal |
エゴマ油 | 921kcal |
ヒマワリ油 | 921kcal |
有塩バター | 745kcal |
無塩バター | 763kcal |
発酵バター | 752kcal |
ソフトタイプマーガリン | 769kcal |
※参考:食品成分データベース
ギーを小さじ・大さじ一杯あたりのカロリーで考えると、
・ギー小さじ1杯(4g)のカロリーは、約37kcalでみかん1個分と同程度
・ギー大さじ1杯(12g)のカロリーは、約111kcalで牛乳1杯分やリンゴ1個分と同程度
となっています。
この数値からも、ギーを沢山摂取すれば痩せるという食材ではないことが分かっていただけると思います。
ギーの持つダイエット効果
中鎖脂肪酸の働き
中鎖脂肪酸はココナッツオイルやパームオイル、牛乳等に含まれていて、体内で効率よく分解されるので、菜種油やオリーブオイルなどに多く含まれる長鎖脂肪酸に比べて数倍速く分解されてエネルギーに代わりやすいという特徴があります。
普段、料理にオリーブオイルやキャノーラ油を使っている方は、そこをギーにすることによって脂肪がつきにくくなるというメリットがあります。
共役リノール酸の働き
共役(きょうやく)リノール酸は、牛などの反芻動物の乳や肉に含まれる不飽和脂肪酸で、草に含まれるリノール酸が、反芻動物の胃の中で細菌によって形を変えることでできるので、ギーのようなグラスフェッドバターに多く含まれています。
共役リノール酸は、ノルウェーの研究グループによって体脂肪だけを減少させる効果があるということが判明しました。
ただし、過剰摂取による悪玉コレステロールの増加や血液を固まりやすくさせるなどの悪影響も報告されているので、ダイエット目的でのサプリメントなどでの過剰摂取には注意した方がいいと言われています。
オススメの市販のギーと購入方法
ギーイージー
オランダ産のグラスフェッドバター(牧草だけで育った牛の乳を使ったバター)のみを使ったギーです。
EUオーガニック認証を取得していて、アマゾンのギーの売れ筋ランキングの上位を独占している人気の商品です。
グラスフェッド ギー
スリランカ原産のグラスフェッドギーは、前述のギーイージーに比べてよりクセが強いのが特徴です。
野性味あふれるコクとザラっとした舌触りは私がインドで食べたギーの香りに近く、好き嫌いが分かれるかもしれませんが私はこちらのギーを好んで使っています。
オススメのギーの使い方と調理方法
ラドゥ
ギーはインドではお菓子作りに欠かせない油だと書きましたが、その中でも特に「ラドゥ/Laddu」はギーが味の決め手といっても過言ではありません。
下の関連記事でも、今回ご紹介したギーを使ってラドゥのレシピをご紹介していますのであわせてご覧ください。
オムレツ
ギーが合う料理として以外にもおすすめなのが「オムレツ」です。
バターたっぷりで作るオムレツはコクが出て美味しいですが、そこをギーを使って作るとさらにコクやまろやかさがプラスされるのでおすすめなんです。
バターが合う料理は大体ギーが合いますが、特に卵料理には相性がいいですよ!
トーストに塗るのも、普通のバターより柔らかく塗りやすいですし、
ギーで舞茸を炒めてちょろっとお醤油垂らしても、もすごく美味しいです。
この投稿をInstagramで見る
まとめ
ダイエット効果が注目されているギーですが、ギー自体のカロリーは他の食用油と変わらないものの、分解されやすくエネルギーに変換されやすいなど栄養価による健康増進効果が特徴的であることが分かりました。
普段の料理で使う油をギーにかえることによって、摂取カロリーは変わらないものの体脂肪になり難いというメリットが得られることになります。
料理によっては一般的な油よりもコクが出やすくなるので、味の変化も楽しめます。
まだギーを試したことが無い方は、是非一度料理に使ってみてはいかがでしょうか。
私のインスタグラムではブログで過去にご紹介したスパイスを使った異国料理のレシピや、おすすめのスパイスの使い方や使用上の注意点などについてご紹介しています。
料理の作り方の細かいポイントやスパイスの使い方などわからないことがありましたら、Instagram経由でコメントなどいただければわかる範囲でお答えいたします♪
この投稿をInstagramで見る
いろんな国のスパイス料理に挑戦してみたい人は、是非Instagramをフォローしてくださいね!