中華料理では欠かせない香辛料のひとつとして挙げられるのが「八角」(別名:スターアニス)です。
特に豚の角煮「東坡肉(トンポーロー)」に八角を入れると、より中華料理っぽさが増して香りに奥行きが出ます。
人によって好みが分かれるスパイスですが、この八角は料理に奥行きを持たせてくれるだけでなく、面白い特徴を持っているです。
本記事では、八角(スターアニス)の使い方や香り成分、食べた人にもたらす効能等について詳しくご紹介します。
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八角(スターアニス)とはどんな植物?
※画像:Wikimedia
・和名:トウシキミ
・別名:大茴香(ダイウイキョウ)
・英名:Star anise/Chinese star anise
・学名:Illicium verum
・階級:マツブサ(シキミ)科シキミ属
・原産:中国南部、ベトナム
・形態:低木常緑樹
・食用:果実を乾燥させたもの
・効果:消化促進、代謝向上、血行促進による冷えの解消
スパイスの八角は、トウシキミという植物の果実を乾燥させたものです。
八角は、「茴香(ウイキョウ):フェンネル」や「西洋茴香(セイヨウウイキョウ):アニス」と同じ香り成分を持ち、星形をしていることから別名「大茴香(ダイウイキョウ):スターアニス」とも呼ばれています。
ただこれ、ちょっと色々と似ていてわかりにくいんですよね。
・スターアニス:大茴香(ダイウイキョウ)
・アニス :西洋茴香(セイヨウウイキョウ)
・フェンネル :茴香(ウイキョウ)
同じ香り成分を持ちつつ、スターアニス(八角)が安価なので一般的に料理で使われることが多いですね。
アニス・スターアニス・ウイキョウは何が違う?
※画像(アニス):wikimedia
上の画像は「アニス(セイヨウウイキョウ)」です。
アニスはセリ科の一年草で、白い花をつけます。
一方で、下の画像は「フェンネル(ウイキョウ)」です。
※画像(フェンネル)
フェンネル(ウイキョウ)は、セリ科の多年草です。
フェンネルとシキミは同じ科の植物なのでよく似ていますよね。
香辛料として使われるアニスは、アニスシードとして採取された緑色の種を使う事が多く、インドでは種をそのまま食後に噛んで口臭消しとして使ってます。
※画像(アニスシード)
そして、下の写真はフェンネルシードです。
見た目もアニスシードそっくりですよね!
アニス(セイヨウウイキョウ)とフェンネル(ウイキョウ)は、同科の植物でそっくりなのですが、スターアニス(ダイウイキョウ)は香りが似ているだけで全く別の植物で見た目も違う事がお分かりいただけたと思います。
トウシキミとシキミの違いに注意!
スターアニス(別名:トウシキミ)は原産国が中国であることから”Chinese star anise“と呼ぶことがあるのですが、これに対して”Japanese star anise“も存在します。
Japanese star aniseは「シキミ」と言い、下の写真はいずれも「シキミ」なのですが、見た目もスターアニス(トウシキミ)にそっくりなんです。
※画像(右):wikimedia
なぜ「シキミ(Japanese star anise)」には注意が必要かというと、こちらはアニサチンという毒を含んでいて全株有毒。
接種後数時間で、下痢や嘔吐などの症状が出て、痙攣をして意識を失い、最悪の場合死に至る危険性があります。
日本では本州(東北以南)~九州に分布していて、昔から仏事で使う花であることからお寺や墓地で見かけることが多く、誤って口に入れてしまって中毒を起こしてしまうケースがあります。
実際、私がイベントでスターアニスの商品を販売していた時に、お客さんが「これって山とかに普通にあるよね~?」って話していたのを聞いたことがあります。
それは間違いなく有毒のシキミの方ですので、「野山に自生している八角を発見!ラッキー!」とか思って料理に使わないようにしましょう!
八角(スターアニス)の匂いの成分は?
甘く独特な香りを持つ八角(スターアニス)ですが、香りの主成分は「アネトール」と呼ばれる物質です。
前述のように、アニス・フェンネルにも同じアネトールが含まれていますが、これらに比べてスターアニスの方がアネトールの含有量が多いので、香料としてアネトールを精製する場合はスターアニスが使われます。
<精油成分に含まれるアネトールの含有量>
・スターアニス:90~95%
・アニス :80~90%
・フェンネル :50~60%
※参考文献:スパイスのサイエンス 武政三男著
スターアニスの香り成分「アネトール」を使った商品は沢山!
スターアニスの芳香は好みがわかれるかもしれませんが、この甘い香りを使って様々な商品が作られています。
下記の3つは「香水」「ディフューザー」「お香」ですが、いずれもスターアニスの香りを用いている商品です。
このスターアニスの甘い香りとカワイイ八角の形を活かして、私自身のブランドではアクセサリーにしています。
この甘い芳香が料理以外にも使われているというのは、スパイスの幅広いポテンシャルの一面であるとも言えますね。
https://hiratsukaspice.com/babycardamom/
八角(スターアニス)の栄養価・効能・効果
インフルエンザ治療薬「タミフル」と八角(スターアニス)の関連性
スターアニスは食材や香料として使われるだけではなく、八角から抽出した「シキミ酸」を元にインフルエンザ治療薬のタミフルが作られているなど薬の原料ともなっています。
八角の効能・効果
八角の持つ薬膳的な効果は、
・胃腸の働きを良くする作用
・血行促進によるむくみや冷えの解消
・殺菌効果によるのどの痛みや咳止め
と言われています。
家族が風邪によるのどの痛みがある時によく作るのが「スパイス入り大根はちみつジンジャーシロップ」なのですが、ここにも必ずスターアニスを必ず少し入れます。
八角(スターアニス)の使い方のポイント
スターアニスを料理に使うときのポイントはいくつかありますが、一番大切なのは「入れすぎないこと」です。
甘い香りの強いスターアニスですが、同時に苦みや渋みもあるので、過剰にいれると薬臭い印象になったり苦みが強く出てしまうことがあります。
また、この香りも好みがわかれるので、本当に隠し味程度に加えるのがポイントです。
スターアニスの香り成分であるアネトールは、種の部分にはほとんど存在せず木化した果皮に多く存在するので、使うときには特に種の有無は気にする必要はありません。
スターアニスの保存のポイント
スターアニスは開封して空気に触れるとどんどん香りが逃げていきます。
可能であれば密閉容器に入れることで長期間香りを保ったまま保存することができますが、あまり大量に使う香辛料ではないので、なるべく早く使いきれるように購入する時は少量のものを選ぶと良いでしょう。
私が以前働いていたお店のスターアニスは少量ずつ遮光袋にパッケージされていて、香りもすごくいいのでお勧めです。袋詰めの作業をしていた時、その品質の良さを実感しました。
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まとめ
数あるスパイスの中でも特に甘い香りを持ち、星のような不思議な形に、薬にもなるという特殊な特徴を持つ「スターアニス(八角)」についてご紹介しました。
一度に大量に使うスパイスではありませんが、煮込み料理や飲み物、デザート等にも使いやすいのでとてもおすすめです。
当サイトでもスターアニスを使ったレシピをご紹介しているので、是非色々と作ってみてくださいね!
私のインスタグラムではブログで過去にご紹介したスパイスを使った異国料理のレシピや、おすすめのスパイスの使い方や使用上の注意点などについてご紹介しています。
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