私がインド旅行中、毎日のように飲んでいたインドの国民的飲み物のチャイ。
寝台列車の車内で起きがけに飲んだチャイ、ガンジス河で夕日を見ながら飲んだチャイ、
長距離バスの休憩所で飲んだチャイ、ホームステイ先のお母さんが毎朝淹れてくれたチャイ。
一杯10~20円程度で屋台で売っているので、インド旅行中は常にチャイを飲んでいました。
インドから帰国して東京でスパイス屋勤務を始めたころ、お店の代表がチャイを入れてく時のこと。
仕事の休憩中に飲んだ時のその美味しさ!!
私は今もその衝撃を忘れることが出来ません。
インドであんなにたくさんのチャイを飲んだのに、群を抜いておいしいと思ったチャイでした。
まるでコンデンスミルクでも入っているの?と思うくらい濃厚で、紅茶もスパイスの味も負けずしっかりとした味。
今回この記事でご紹介するのはそんな「スパイス専門店の代表が入れてくれた濃厚な本格チャイ」のレシピです。
Contents
チャイとはどんな飲み物?
そもそも日本でチャイというと、スパイスが入っていることが多いですが、本場インドではスパイス(マサラ)が入ったチャイの事を「マサラチャイ」といいます。
※これも地域やお店によって様々で、チャイといってもスパイスが入った場合もありますし、日本でもチャイ専門店などではチャイ(スパイス無し)とマサラチャイを厳密に分けているところもあります。
紅茶(ミルクティー)とチャイの違いは?
そもそもミルクティーとチャイの違いは何なの?と思われている方もいるかもしれませんが、大きく違うのは下の2つです。
・茶葉 :チャイの茶葉は粉末状のクズ茶葉を使う
・作り方:チャイは茶葉を直接鍋で沸騰させるが、紅茶は熱湯を注ぐだけ
もともと、イギリスの植民地時代にインドで採れた品質のいい茶葉はイギリス本土に輸出して、インド国内では残った「ダスト」と呼ばれるクズの茶葉を使っていました。
そんな品質の悪い茶葉を美味しく飲むために工夫されてできたのがチャイです。
コクの出にくい粉末状の茶葉でも美味しく飲むために、茶葉を直接鍋で煮出してからミルクを加えるのも、ミルクティーとは違うポイントです。
チャイの基本レシピ
材料
材料 | 分量 |
茶葉 ドアーズCTC*¹ | 20g |
牛乳 | 1ℓ |
水 | 500㎖ |
ジンジャー(乾燥)*² | 7g |
カルダモンホール | 5g |
シナモンスティック | 1本 |
*¹:茶葉の種類については後述します
*²:ジンジャーは、生でもいいのですが乾燥粉末の方が使い勝手が良く体も温まりやすいとされています。
チャイの作り方【調理時間:30~40分】
1.カルダモンはさやのまま、まな板の上などで軽く潰しておく
2.大きめの鍋に水とスパイス、茶葉を入れて火をつけ、沸騰したら弱火にして煮詰める。写真にあるように、水分が鍋底に少し残るくらいまで煮詰めます。
3.牛乳を入れて再度火をつける。
4.沸騰して牛乳に茶葉の色が移って茶色になるまで約15~20分ほど煮出す。煮出し時間は目安です。しっかりと茶葉の色が牛乳に移り茶色になるまで時々かき混ぜながら辛抱強く煮出します。
5.火を止めて、10分程待つ
6.スパイスと茶葉をザルで漉して、濾した茶葉とスパイスを更にサラシに包んで絞る
6.再度火にかけ、砂糖を溶かして完成。お好みでシナモンパウダーを振る
濃厚なチャイを作るポイント
今回ご紹介しているレシピのポイントは、専門店の濃厚本格チャイを作るために「濃く煮出す」という点です。
手順1のスパイスと茶葉を水で煮出す時点で、できる限りギリギリまで煮詰めます。
この時点で舐めるととても渋いのですが、後ほど牛乳と砂糖が入るので心配せずにしっかりと煮詰めた方が美味しいです。
また、お砂糖はスッキリした甘さを出すために白砂糖を、少し多いかなと思うくらい思い切って入れてみてください。私はこのレシピで作る時は大さじ3~4くらい入れます。
お砂糖と相性の良いスパイスを使っているので、少し甘いかなと思うくらい入れた方が最終的にはバランスがとれて美味しくなります。
チャイを淹れるときにあると便利な道具
一般のご家庭にある道具でもチャイを入れることは可能ですが、より美味しいチャイを作るためにあったら便利な道具を3つご紹介します。
1.大きめの鍋
チャイを作る上で失敗しがちなのが、牛乳を入れてからひと煮立ちさせるときです。
牛乳を入れてから小さな鍋で沸騰させると噴きこぼしやすくなり、私も最初慣れないときはよくコンロの上を汚していました。
茶葉を煮出して作るチャイは少量で作るのが難しいので、今回のような分量(水500mlと牛乳1ℓ)をご紹介していますが、この分量がしっかり入るだけの大きさの鍋を用意しないとすぐ噴きこぼれてしまうので注意しましょう。
2.目の細かい2重茶漉しとサラシ
スパイスを入れて煮出すチャイは、飲む前に鍋で沸かした茶葉とスパイスを漉す必要があります。
その時に使う茶漉しは「2重になっていて目の細かいもの」の方が、スパイスの粒が口に入りにくくなるので、舌触りも滑らかになっておすすめです。
さらに、私は「サラシ」を使って煮出した茶葉を絞りきることで、しっかりと茶葉に残ったコクや渋みを出し切るようにしています。
サラシを使って熱々のチャイを搾り取るのは結構な手間ですが、これをすることによって濃厚なチャイになります。
3.泡立て器
チャイ好きの方は見たことがあるかもしれませんが、本場インドでチャイを頼むとステンレスカップに入ったチャイを天高くからコップに注いでくれます。
これは高い所から注ぐことで空気が入ってチャイが泡立つので、舌触りが滑らかになってふわふわとした食感になるという利点があるのですが、一般家庭でこれを行うのは少々難しいですよね。
もしふわふわに泡立ったチャイを飲みたい場合は、泡立て器でチャイをかき混ぜ混ぜることで同様の効果を加えることができます。
鍋に入ったチャイをかき混ぜてもいいのですが、泡立てる効果は長くは持続しないので、各コップ単位でミルクフォーマー(泡立て器)を使う方が良いでしょう。
ドアーズCTCとはどんな茶葉?
私のレシピでは、ミルクに負けないコクを出すためにドアーズCTCという茶葉を使います。
ドアーズはインド北部にある紅茶の生産地で、そこで作られる紅茶のほとんどがCTCと呼ばれる製法で顆粒のように丸まった茶葉が作られています。
CTCは、Crush(壊す)・Tear(割く)・Curl(巻く)の頭文字で、この加工を施された茶葉はお湯に触れる表面積が大きいため、コク・色・渋みの抽出が早くなり、ミルクティーやチャイなどとの相性が良いのが特徴です。
通常のオーソドックスな茶葉に比べ、少量でも1杯分の抽出ができるので、最近ではティーパックの紅茶に多く使われているのもCTCの特徴です。
アッサム地方のCTCに比べ、ドアーズ地方の茶葉はコクと渋みが強いので、チャイにとてもよく合います。
その他のスパイスを使ったアレンジレシピ
・甘みを足したいとき → フェンネル
・辛みを足したいとき → ホワイトペッパー
・深みを出したいとき → クローブ・オールスパイスなど
妊娠中・授乳中でカフェインがダメな方でも飲めるチャイレシピ
チャイは美味しいのですが、私は2015年からつい最近まで長男と次男の育児と授乳でカフェインの入った飲み物を飲めずにいたのでしばらくチャイを作っていませんでした。
カフェに入ってメニューにもチャイがあっても、カフェインレスのチャイはまずありません。
なので、麦茶を使ったノンカフェインチャイを作ってみました。
このレシピならお子さんとも一緒に飲めますし、妊娠中・授乳中の方でも大丈夫です。(※ただし、妊娠中の方でたくさん飲みたい場合は、シナモンの量を少し調節した方がいいかもしれません。念のため。)
基本のレシピはこのチャイレシピがベースになっています。
チャイの作り方を学んだスパイス専門店「Nハーベスト」
もし関東にお住まいの方は、東京の西荻窪にあるエヌハーベストに行かれると、今回ご紹介したレシピの元になるチャイを飲むことができます。
店舗ではチャイ用にブレンドされたミックススパイスが売られているので、そちらを使えばより簡単に美味しいチャイを入れることもできますし、私のオリジナルブランド「Baby Cardamom」のスパイスアクセサリーも購入することができますので、機会がありましたら是非足を運んでみてください。
私がスパイスの勉強をさせてもらったエヌハーベストについては、是非下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
本記事ではベーシックな濃厚チャイの淹れ方をご紹介しましたが、必ずしもホールのカルダモンやスティックのシナモンが無くてはいけないわけではなく、自分のやりやすい方法でスパイスの足し算引き算をしてみてください。
私は今回ご紹介したレシピで、友人のイベントでチャイを作ったり、自宅でチャイ講座を開いたりしていました。
それも働かせていただいていたスパイス屋さんのイベントで、チャイを作るお手伝いをさせていただいた経験があってこそでした。
作り方の手順など私なりにアレンジしているところもありますが、とても美味しく作れるので是非試してみてください。
私のインスタグラムではブログで過去にご紹介したスパイスを使った異国料理のレシピや、おすすめのスパイスの使い方や使用上の注意点などについてご紹介しています。
料理の作り方の細かいポイントやスパイスの使い方などわからないことがありましたら、Instagram経由でコメントなどいただければわかる範囲でお答えいたします♪
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